40人が本棚に入れています
本棚に追加
第6話 リベンジしよう
ああ、全く何て日だろう。後輩が提出期限さえ間違えなければ、こんなに遅くまで残業することもなかったのに!
しかも先輩には、もっとちゃんと指導しないからだって説教を延々とされたし。私だってちゃんと指導してるっつーの。間違えたのはあっちなのに何でこんな目に合わなきゃならないの。
あームカつく、イライラが収まらないよ。どうしよう。よし!こんな時はあれに限る!いざ戦場へ!
と意気込んで来た場所は毎度お馴染み、行きつけのゲーセン。変わりばえしなくてごめんなさいね。でも好きなんだから仕方ないよね。と自分に言い訳して、いつものゲーム機の前に座る。隣りにいた人物からやたら視線を感じ、その遠慮ない様子にさっきから何なんだと睨み返したらそこには知った顔が目の前にあって動きを止めた。
「…陽太さん?」
「よく、会うな」
「わ、私はちょっとストレス発散しにきただけで」
そう言うとなるべく彼のほうをみないようにしてゲーム画面に集中する。
「好きなんだね」
「へっ?」
「シューティングゲーム」
「あ、ああ。うん、そう」
「俺も好きだよ」
「ふお?!」
びっくりしてゲームそっちのけで彼の顔を凝視してしまう。今、何ていったんだろう。どんな顔をしていいかわからなかった。
「シューティングゲームがね」
その瞬間、無意識に打っていたらしくガンっと派手な音と共にゲームの中のTレックスが死滅した。また期待してしまった。またやられた。私のバカバカバカ!!彼が笑いながらお見事!と言ってたけどそんなの聞こえていなかった。
絶対わざとだ。この男は私がおろおろしたりどきどきすることを見越して仕掛けてきたんだ。ほんといい性格してるよね。このまま負けてばかりじゃ悔しいから何か仕返ししてやろう。
「ねぇ、今から私と勝負しませんか?」
「勝負?別にいいけど」
「このシューティングゲームで得点が高い方が勝ち」
「わかった」
「負けた方が勝った方の言うことをきくんだからね」
「ハイハイ」
もう完全に馬鹿にしてるな。見てなさい、私はマリカーとこのゲームはやりこんでいるし得意なんだから!こうして意地の張り合いのガチンコバトルが始まった。
最初のコメントを投稿しよう!