Dolphin

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「あ、ごめん。ついつい興奮しちゃって。でもさ、凄いよね。キスだよ、キス!! あの二頭は恋人同士なのかな?」 「そうかもね」 「だったら、歌ってたのはラヴ・ソングかな?」 「ただの芸だろう? 声を出してただけだよ。全然メロディーになってないし」 「もう、晴人は夢がないんだから。そんなこと言ってると、女の子にモテないよ?」 「美鈴がいるから、別にモテなくてもいいし」 「それはそうかもしれないけど、ファン獲得のためにはモテる要素だって必要でしょう?」 「そりゃあ、すみません」  はしゃぐ私と対象的に、晴人は冷静に対応する。  私と晴人が出会ったのは大学生の頃。お互い、大学の軽音サークルで活動していた。私は同級生三人とポップス路線のカヴァーバンド。特にこれといったこだわりは無く、流行りの曲や気に入った曲を練習して楽しむ。私は何も楽器が弾けないので、ヴォーカルを担当していた。     
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