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ちょんまげを激しく揺らしながら、そう言った相手は敬礼のポーズを取る。すでに突っ込みどころ満載の展開に、ますます喉の奥では言葉が詰まっていく。
「さあご主人様。私のどんな願いも三つ叶えて下さい!」
「はっ?」
意気揚々と紳士のように頭を下げるその姿に、やっと僕は声を発した。
「ちょ、何言ってんの? ってか、何だよお前!」
「私は、フラスコの魔人です」
なんだろう、この感じ。文章的には成り立っているのに、コミュニケーションは成り立っていない。しばし呆然とする自分に、それでも相手は同じ調子で口を開く。
「私の役目は、自分の願いをご主人様に叶えてもらうことです。そしてこの度、あなたが私の新たなご主人様に任命されました!」
どうぞよろしく! と言わんばかりにまた頭を下げる変なおっさんに、僕はすぐさま言葉を返す。
「はっ、何言ってんだよ。ぜんっぜん意味わかんねーし。ってかなんで主人の僕がお前なんかの願いを叶えないといけないんだよ」
疑問は大量にあるが、とりあえず一番やっかいそうなポイントを突く。そもそも、フラスコの魔人って何だよ。
「いやいやご主人様、それがルールです」
今度は真面目な顔でそいつは言ってきた。その妙にカンに触る表情に、さっきまで不安と恐怖でいっぱいだった心の中に、怒りの感情が芽生える。
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