ご主人様は、あなたです。

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 五文字ぐらいあるのはわかったが、まったくと言っていいほど読めない。汚れているせいなのもあるが、おそらく字自体も汚いと思う。 奇妙なフラスコに、奇妙な文字。 少し好奇心をくすぐられた僕は、文字を解読しようとシャツの袖でこすって見た。 きゅっきゅっとガラスが擦れる音が聞こえたかと思うと、次の瞬間、フラスコを握っている左腕が震えだした。 「え?」  突如痙攣し始めた自分の左腕に驚いたが、それは僕の身体のせいではなく、握っているフラスコが震えていたのだ。まるで携帯のバイブレーションみたいに小刻みに震えるそのフラスコを、僕は慌てて机の上に戻した。 「な、何だよこれ……」  カタカタと音を立てながら震え続けるフラスコに、僕の目は釘付けになる。もしかしてフラスコの形をした爆弾か? そんな恐怖が頭をよぎる。 僕はフラスコを見つめたまま後ずさりをするも、すぐに背中は棚へと密着する。いくら命を投げ捨てる覚悟が出来ているとはいえ、怪奇現象は怖い。 呆然としたまま立ち尽くす僕の目の前で、フラスコは踊るようにその震えを激しくしていく。 かたかたかたかた……ぼん!  突然小さな爆発音が聞こえて、僕は思わず目を瞑りその場にしゃがみ込んだ。     
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