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「急に、何だよ。あれか、俺に生き残って欲しいから、わざと言ってんのか。俺を愛しすぎだぜ、溌七」
しかし、溌七はくすりともしない。
「私と翔が死ねば、校舎の生き残りが一人いたなら、涼一と合わせて二人だ。百人死亡の二人残りで、涼一は銃持ちと争わなくても生き残れる。いい話だと思わないか?」
校舎から、けたたましい銃声がした。だが、涼一はそれどころではない。
「やめてくれ、溌七」
「それに私を殺すのは、もしかしたらお得なのだ。要は、百二人中二人しか生き残れないのではなくて、百人が死ねばいいのだから」
「だから……何だ?」
そう聞いてから、涼一は後悔した。
その可能性を必死に頭から追い出そうとしたが、しかし、溌七は静かに告げてきた。
「私が死ねば、私の中で生きている人間の心臓も止まるだろう。センサーとやらの性能によっては、二人分の心拍停止が確認できるのではないか。胎児の心拍は、妊娠六週間ほどで確認できるそうだから」
「ふ、ふざけてるのか? 俺たち、キスもまだ……」
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