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涼一が告白したのは、四月の終わりだ。入り立てのクラスで仲良くなった二人のうち一人、溌七の赤らめた顔が今でも鮮やかによみがえる。
二人のうちのもう一人は、向翔というのだが、バスの中では席が離れてしまった。スポーツが得意で背が高く、面倒見もいいのでクラスの中での人気は高い。
溌七と翔は中学が同じだったそうで、元々仲が良かった。そこに涼一が入り込み、今では溌七の恋人になっている、という形だ。
涼一にすれば、いくら仲が良くなったとはいえ知り合って一ヶ月もたたない男からの告白を、溌七がよくOKしてくれたものだと思うと、後から考えて自分の無謀さに冷汗が出る。
「お。溌七、あれじゃないか?」
涼一が指差したのは、山道に立ちふさがるようにそびえる建物だった。
だが――
「涼一。あれは学校ではないのか?」
溌七に言われるまでもなく、涼一がよく見ると、その建物は鉄筋コンクリート製で三階建て、白く塗られながらもひどくうらぶれた外壁で、打ち捨てられた校舎のように見える。
その時、担任の声がバスの前方から響いた。
「よし、到着したらあそこの体育館に集合だ」
体育館――やはりここは廃校になった中学校だった――の壇上で、校長風の見知らぬスーツ姿の男が、軽快に喋っている。
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