100人殺るまで帰れません

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 跳び箱やサッカーボール、石灰の袋など、ついこの間まで使われていたであろう道具が並んでいる。  涼一と溌七は、身を寄せ合って隠れていた。  時折校舎から発砲音が聞こえる。その度に溌七がびくりと身を震わせた。  用具室にも電光掲示板があり、数字が少しずつ増えて行く。今は92だ。A組のクラスメイトも、殺し合いを続けているのだ。 「涼一。百二人いて百人死ぬなら、二人しか生き残れないのだな」 「……二人か、一人か、ゼロだ。あくまでルール通りならな」  涼一も、溌七の言わんとすることは分かっている。翔を加えた三人で生き残ることは、現状では不可能だということだ。 「まあ、翔たちに期待するしかねえよ……あっ!?」  用具室の扉が開き、二人の前に人影が現れた。 「翔!?」と二人が叫ぶ。  翔は、血まみれだった。 「し、しくじっちまった……教師役の奴ら、職員室でマシンガンで武装してやがる。防弾アーマー付きだ……C組の生き残りとも合流したんだが、皆まとめて返り討ちだ……」 「いいから横になれ! 溌七、その辺に手当てできるものないか!」     
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