100人殺るまで帰れません

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「やめろ二人とも、無駄だ……。いいか、その返り討ちで死んだ奴はいないが、多かれ少なかれ全員傷を負った。もうあいつらは考え方を変えて、完全に百人殺しでの生き残りを狙ってる。お前たちのことも殺しに来るぞ……」  涼一が握った翔の手が、どんどん冷えていく。 「す、すまん、涼一……お願いだ……溌七と二人にしてくれないか……」 「……ああ。いいとも」  涼一は一人、用具室の外に出た。  あのケガでは、翔は間違いなく、遠からず死ぬだろう。くそ、と毒づく。畜生、畜生。  やがて、溌七だけが外に出てきた。 「おう。……翔、なんだって?」 「殺してくれ、と言っていた。百人の足しにしてくれって」 「ばか言いやがる」  そう言われて思わず涼一は、用具室の外壁に掛けられた電光掲示板を見た。数字はまだ92のままだ。B組の「銃持ち」たちは殺し合いに挑みながら、まだ生存しているわけだ。混乱の極みにあったA組は、河合や飯岡も含め、全員やられたかもしれないが。 「涼一。お願いがあるんだ。私を殺してくれないか」  涼一は、一瞬何を言われたのか分からず、ぽかんと口を開けた。 「頼む。私はもう生きていたくないんだ、翔が死ぬのなら」 「……なんだって?」 「すまない。私はずっと翔が好きで、何度も告白しては断られていたんだ。涼一との交際を受諾したのは、その寂しさからなんだ」     
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