37人が本棚に入れています
本棚に追加
真実と薬莢
『ZとI・Cはそのまま待機』
「了解~~」
「わかりました」
ビルの裏、人気のない路地の入り口に挟み込むように【その時】を待つ。
その時というのは大きく分けて2つだ。
ひとつは、
『よし、撃て』
遠距離からの狙撃。
呼吸するように引き金の指を曲げて白煙とともに弾丸を撃ち出す、目標の頭に向けた狂いのない一発。
「うっ………ぐっ!!」
視角から迫る恐怖は、反撃の余地を与えずに目標を即座に地に沈める。
「目標に命中。ダウンしました」
『よし、ZとI・Cは確認に入れ』
その時の一つというのは遠距離攻撃で倒れた目標が戦闘不能かどうかを確かめる。
能力者の中には治癒を持つ者も珍しくないためそれを警戒してのことらしい。
そしてもうひとつ。
それは遠距離攻撃を目標が防いだ場合。
当然、警戒と反撃をしてくるため遠距離攻撃はもう通じないと言っていいだろう、無理やりではあるがショットガン等の近距離攻撃に切り替える。
「死亡確認」
『よし、全員速やかに拠点へ帰還』
『了解っ』
今回の目標は瞬間移動ができる特殊能力を持った者だった。
地に流れる血は【銃】という武器の恐ろしさと手軽さ。
そして真っ赤に染まってしまった残酷なこの世界を映す鏡のようだった……。
最初のコメントを投稿しよう!