噂の彼女と実際の彼女 side 英翔

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噂の彼女と実際の彼女 side 英翔

ハーバード大学博士課程を卒業後、しばらくはアメリカの製薬会社に勤めていた俺。 アメリカで創薬の研究に没頭する生活に生き甲斐を感じてた。 そんな俺だけど、親父と30歳になったら日本に戻り、一族経営をしている製薬会社に入社して新薬の開発に従事するように言われていたから仕方なく、アメリカの生活とおさらばした。 帰国後、9月1日から創薬研究員として勤める事になった。 日本に帰ってから驚いたのが、女性社員が用もないのに絡んできたり、同僚の女性研究員の清宮咲耶さんの悪口を俺に言って来る事。 『清宮咲耶さんには気をつけた方がいいですよ?』 仕事の絡みの無い見知らぬ女から言われた事を鵜呑みにしたりはしない。 自分の目で清宮咲耶さんを見て判断しようと思った。 清宮さんは、1番下だからか、早朝に出勤し、実験動物の世話と培養している菌の管理をし、その後、洗浄した実験器具を片付け、その後に彼女が研究している咳の風邪薬の開発に取り掛かる。 培養した菌に効くと思われる開発候補化合物を作成し、菌の入ってシャーレにスポイトでそれを入れる。 なかなか上手くいかないようで、開発候補化合物の配合や量を増やしたりして試行錯誤を繰り返して取り組んでいる。 とても真面目な子で、好印象な子だ。 仕事終わり、ベテランの研究員が使った消毒液につけた実験器具を洗い、洗浄機に入れ、研究室内を片付けていた。 22時に仕事を終えた後、1時間ぐらいかけて片付けをしている清宮咲耶さん。 深夜に1人で帰宅させるのが心配になり、片付けを手伝って、一緒に帰宅するようになった。
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