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エスカレーター小僧は恐ろしい妖怪である.
子供がエスカレーターのそばで遊んでいると、うしろから近づいて来て、頭に噛みつき、バリバリと噛み砕き、手も足も体も、すべて一口で飲み込んでしまう.
しかし、その顔を見たものは、誰もいない.
ある人が言う.
「エスカレーター小僧には、鋭い牙が何本も生えている」
しかし、それを確かめたものは、誰もいない.
ある人が言う.
「エスカレーター小僧は、鋭い爪で子供の心臓をグサリ、グサリと何度も何度も、突き刺す」
しかし、それを確かめたものは、誰もいない.
ある人が言う.
「エスカレーター小僧は、ニタニタと笑いながら、子供の顔を殴り続ける」
しかし、それを確かめたものは、誰もいない.
ある人が言う.
「エスカレーター小僧は、子供が痛いぃ痛いぃ、いやだぁ、いやだぁ、と泣き叫んでも、決してやめない」
しかし、それを確かめたものは、誰もいない.
エスカレーター小僧は恐ろしい妖怪である.
子供がエスカレーターのそばで遊んでいると、うしろから近づいて来て、頭に噛みつき、バリバリと噛み砕き、手も足も体も、すべて一口で飲み込んでしまう.
そして、その顔を見た者は必ず殺される.
(了)
―― あとがき ――
WEB絵本「妖怪、エスカレーター小僧」
著者:茜町春彦
(注)エスカレーターのそばで遊んでいるとエスカレーター小僧は現れますが、キチンと乗ると現われません.
投稿サイト「パブー」で公開した作品です.こちらに移植しました.
初出:
創作絵本『妖怪、エスカレーター小僧』2017年7月3日発行
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