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「その本、面白いだろう?」
誰かが急に背後から話しかけた。
俺は驚き、背筋がビクッとなった。
恐る恐る振り返ると、一人の男が立っていた。
背はやや高く、ヒョロッとした体系で髪の毛は少し目が隠れるくらいまであった。
ジーパンに黒いパーカーの上から紺色のエプロンをしていた。
「てっ、店員さんですか!?すっ、すいません。勝手に入っちゃって...。でも鍵が空いてたから...。」
勝手に店に入り物色しまくっていたので、怒られるんじゃないかと思い、必死に弁明した。
やや間を開けて男は口を開いた。
「俺は...俺はこの古本屋の神さまだよ。神でもあり、店員でもある。勝手に入ってきた?結構結構。君はその辺のスーパーマーケットなんかに入る時いちいち許可を取るのかい?違うだろう?」
「あ、まあそうですね。はい...。というか、神様って...普通の店員さんですよね?」
「君が私の事を普通の店員と思うなら普通の店員なんだろう。しかし私がこの古本屋という小さな世界で、古本達にとっては私こそが神であるという事には変わりないだろう。なぜなら、本棚の掃除やらをして本達を汚れから守っているのは他でもない私だし、君みたいにお客さんが来た時に私がいなければ本達は外の世界に出ることができないのだからねぇ。」
神と名乗るその男はあまりにも堂々と、そして胸を張って、そう言った。
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