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まず言えるのはとにかく話が長いということである。
そして面白くない。
簡潔性に欠ける。
その上たかが一つ歳が上のだけにクセに妙に上から目線で先輩風を吹かしてくる。
だがそんな事は些細な事に過ぎない。
この男に出会ってしまった時、またはその後は大抵ロクな事が起きないのだ。
真田はいつものように面白味の圧倒的欠如し、簡潔性と内容の完全に枯渇した話をクドクドと吐き散らし、かと思いきや当たり前のように上から目線で謎のアドバイスをご教授してくださった。
ようやく話は終わり俺は解放された。
すっかり人気のすくなってしまっていた校舎内で俺は重たくなった踵を返し、下駄箱へ向かおうとした。
「そうそう。オマエがいつも帰りに使ってる裏道の方は昼から工事するらしいから、通れないと思うぜ?」
真田が遠くからそう言った。
「分かりました。ありがとうございます。」
俺は最後の力を振り絞り精一杯笑顔を作り、心のこもっていないお礼を言った。
何が工事だコノヤロー。
真田の事だ。
どうせ工事なんてやってない。
工事をやってると思って、大通りの方から行けば、むしろそっち側で工事してたりするんだろう。
その手は食わんぞ真田め。
度重なった災難にイライラするように俺は乱暴に自転車へまたがり、帰路を辿った。
そして問題の裏道へと着いた。
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