プロローグ

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裏道の入り口には通行止めの看板が掲げられ、下水道工事が道の中腹で進められているのが目に入った。 いや...工事してるんかいィィィィィィ。 俺は心の中でシャウトした。 ほら見たことか! ロクな事が起きないんだ! 真田の助言通り大通りを通ったところでどうせ別の災難に巻き込まれていたのだ。 アイツと出会ってしまった時点でこうなる事は決まっていたんだ! なんでいつも回避できないんだ...。 もし未来が見えたら...もし未来が見えたら今日の一連の出来事なんて全部回避できたのに! 俺は苛立つがままに歯でギシギシと音を立て、力任せに足元に落ちていた小石を蹴っ飛ばした。 小石は命を得たかのようにコロコロと勢いよく転がった。 たしかに思い切り蹴ったが、あまりにも凄い勢いで転がっていったので、自分が蹴った小石に見入ってしまった。 すると小石は急に意思を持ったように右の方へ曲がった。 というか、右に曲がっていったがあんなところに道あったっけ? 俺は小石を追いかけるように自転車を手でついて小石の元に歩いていった。 いつも通っている帰り道のはずなのに気づかなかった。 そこには人が二人通れるか通れないほどの小道があった。 家の外壁と外壁の間にある道だが、奥を覗いたところ先はどうやらひらけているみたいだ。 もしかしたらココからも帰れるかもしれないな...。 俺は自転車にまたがり、その狭い道を進んでみることにした。
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