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俺はその場に自転車を停め、その建物の前に行き、窓から中をのぞいてみた。
外観は木造でところどころ欠けたりしているところがあるものの、中はホコリ一つ溜まっている感じなく、しっかりと整理されているような感じだった。
俺は覗いていた窓から三歩後ろに下がり今一度玄関を見た。
『舎碌古書店』
"シャロクコショテン"と読むのだろうか。
こんな所に本屋さんがあっただなんてなぁ。
俺は思考を一巡りさせた。
普通こんな人気のない所に本屋なんか構えるか?
でも実際に本屋はここに存在している。
と、なるとこの本屋は普通の本屋ではないのだろう。
きっと珍しい古本のマニアとか、どこぞの大学の偉い研究者達のような人たち御用達の知る人ぞ知る、みたいなお店なのだ。
俺はいささかこの古書店に興味を惹かれた。
あたりをキョロキョロと見渡してみたが誰かがいるような感じもしない。
「こうしてこんな所に迷い込んで来てしまったのも何か縁かもな...なんてな。」
俺は自分に言い聞かせるように呟いて木のドアを引き、恐る恐る古書店の中に足を踏み入れた。
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