舎碌古書店と神さま

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しかしいくらそれらが古くとも、本の上にはホコリはたまっていなかった。 とことん掃除が行き届いているのであろうか、それともこれらの本を買ったり、借りたりするような人がいるのだろうか。 とんでもなくスゴイ場所を見つけてしまったんじゃないかと、俺は会ったことも見たこともない、この古本屋に来るであろう客達と肩を並べたような気がして、一人でに偉くなったような気がしていた。 俺は目を輝かせながら、最後の本棚をゆっくりと物色していった。 そして端から見ていった最後の本棚も終わりになろうかという時、棚の一番右下に明らかに異質な本を見つけた。 莫大な量の本達が息をひそめるこの古本屋で、一番奥の棚の一番端の下にあったその本は明らかに、他の本とは質感も見た目も新しさも違う。 淡いオレンジ色をした背表紙には何も印刷されていない。 俺はしゃがみこみ、その本に手を伸ばした。
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