残された謎

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残された謎

 ガイシャは宇崎清美、祖母の水無月紀代美はビオラ奏者だ。頭を殴られて殺されたようだ。 「どうして、清美が死ななくちゃいけなかったの?」 「それは分かりません」   槙野が言った。 「警部、もう帰りましょう?」  野崎が言った。  鑑識が到着して現場検証が行われた。 「うん、そうだな?」  僕は水無月紀代美にラリアットを喰らわせてやった。 「おめぇがやったんだろ!?人を殺してそうな顔してるよ!」 「アタタタ、どうして分かったんですか?」 「お手柄じゃねぇか?」  槙野に誉められてまんざらじゃない。 「消ゴムを一緒に探してもらえませんか?」  僕は槙野に尋ねた。 「現場検証中だからな?探しておくから交番に取りに来い、おまえの名前と番号、住所を教えろ?」  教えた。 「金無さんの息子さんか?親父さんは頭がキレるが、アンタは体育会系だな?」  野崎が言った。 「ところで婆さん、あんた飛鏡組に依頼したか?彼処に関わると偉い目にあうぞ?」  槙野が言った。 「いえ、1人でやったのよ」 「鍵はどうやって開けたんだ?生徒はドアの開け閉めなんてしないだろ?」  槙野は肩がこってるのか?グルグル回した。 「私はここの塾長なの」 「どうして清美を殺したりしたんだ?」  僕は不思議でならなかった。  僕にも祖父母がいるが、メチャクチャ優しい。 「あの子は早くに事故でパパとママを亡くしてね?私は親代わりをしてきた、昔は可愛かったんだが、親を亡くしてから荒れてな?私を殴るようになった、この傷見てくれよ」  彼女の腕には青アザが出来ていた。 「ひどいなぁ」  僕は言った。 「このままじゃ私が殺される、だから、あの子を迎えに行くついでに殺したんだ、この灰皿でな?」  彼女はリュックサックの中から血のついた灰皿を出した。  槙野が紀代美から灰皿を受け取った。 「アンタには嫌な思いをさせて悪かった」  紀代美は深々と頭を下げた。 「ホント、いい迷惑!慰謝料払ってもらいたいよ」  紀代美は連行された。  自宅に戻ってきた。向かいの家は犬がうるさい。  神経に触る。  あの、『くみ』の謎だけが残された。  
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