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 僕は暗い部屋に閉じ込められていた。  ドアは電子ロックが掛かっている。  三苫からの依頼なんか断ればよかった。  あの夜、塾に戻らなければこんなことにはならなかった。 『飛』がつく熟語を、午後6時までに50個以上答えないと爆破される。熱いだろうな?痛いだろうな?  午後6時まであと1時間しかない。  だが、頭がフリーズしてしまった。  ちびまる子ちゃん見たいなぁ?  あの事件のあった夜、茶の間でビールを飲んでるとスマホが鳴った。 《あっ、俺だ》  親父からだった。 「何だよ?」 《槙野が誉めてたよ?けど、婆さんだったらパンチくらいにしとけよ?骨がもろいから下手すりゃ死ぬぞ?》 「やり過ぎたとは思ってる、孫から殴られたり災難だな?」 《んでな?あの、ガイシャのスマホの下書きに『ヒントはホテル』って残されていたんだ。別の事件が起きたんでそっちに取りかからなきゃいけない》 「僕だって仕事があるんだよ」 《まぁ、無理にとは言わん、息抜きのクイズだと思えばいい、んじゃ留守を頼む》  母親は近所のおばさまと旅行に出掛けた。  塾長が逮捕されて、運営はどうなるんだろう?  スマホが鳴った。副塾長の美川からだった。『おだまり』の、美川憲一とは似ても似つかない豚みたいなオッサンだ。 《あっ、金無さん?夜遅くにすみません》 「今日は大変でしたね?」  《本当に、あの大人しそうな塾長が、しかもお孫さんを殺すなんて、腑に落ちないのは塾長って嫌煙家なんですよ》  タバコも吸わないのに灰皿なんて普通は使わない。 「で、何です?」 《明日はお休みしてください、警察が他にも調べることがあるみたいです》 「有給使えますよね?」 《ええ、明後日は13時からの講義でしたよね?》 「はい」 《よろしくお願いします》
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