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その言葉にビクッと反応し三人は急いで後ろを確認する。そこにはつややかな黒髪を一本に結ってまとめた少女、アキがたたずんでいた。ソロモン女学院の高等部の制服を着ていたので先輩だと気が付くと何もやましいことをしていないのになぜか緊張してしまう。
「は、はい。あた、私たち全員動作確認が終了しました!!ね、リーン、フラン?!」
「はい!!」
「じゅ準備はいつでもできています!」
「そう。なら小鬼の右腕を上げた状態で直立のままにしてあなたたちは座って待機していなさい。たぶん後数分で試験のアナウンスが鳴るから」
アキはそれだけ言うと彼女達に背を向け別の受験者たちの方に行ったその後姿をリーンはどこかうっとりとした表情で見つめていた。
「すごい、綺麗な人だったね……」
「ええ、まさに高嶺の花ですね……」
「はいはい、その話は後でね。ほら、早く座るよ!」
シェナのおかげで呆けていた状態から元に戻った二人は共に小鬼を操作してアキが言っていた状態にするとそのまま演習場に座った。その時もリーンは思わず自分たちの近くの他の受験者に説明を行っていたアキの後姿を眺め、そしてあることに気付いた。
「………?あれ腰につけてるポーチ……少し揺れてた?」
*
【アキさーん。適合者の子見つかった?】
「(……見つかっていたらもう少しテンション高いわよ)」
自分が担当するところの受験者が全員待機状態になったところに耳元にミリアの気の抜けた軽い声が響いた。これは耳元につけている魔石を使った通信魔法具による念話である
【いやいやアキ先輩。あんたうれしいことあってもテンション低いやろ】
【レ、レイス先輩!!失礼ですよいくら本当のことでも!!】
「どちらかというとマルシェの言葉が一番傷ついたわ」
【はうわぁっ?!】
すさまじく焦ったようなマルシェの声が響きそれに対して素知らぬ感じで念話中に口笛を吹くというテクニックを披露しミリアはケタケタと笑っていた。その様子を正そうとナーシャは念話で咳ばらいを行い全員の意識を自分に集める。
【まぁ、適合反応を持つ子が全くいないんであればしょうがない。試験が終わったら王国に返納する。全員、それでいいな?】
【はい、それでいいですはい!!】
【うちもええでぇ】
【もちろん私もー】
「……分かったわ、それじゃ全員生徒会執行部としての役割を全うするように。以上、切るわ」
そう言うとアキは耳元の魔法具のスイッチを切り周りを確認する。その視線の先には先ほど話した三人の受験生のシェナ、フラン、そしてリーンがいた。先ほどは何やら自分に視線を向けていたようだったが今はもうすぐ始まる試験に集中しているためこちらに気付いた様子はなかった。
「(あの時あの子達に、いやあの金髪の子に近づいた時、翼狗の大総裁が僅かに震えた。それはつまり、ほんの少しではあるもののコレを操作する適性があるということ………?…………いや、あんな小さな震えほとんど誤差よ気にする必要はないか)」
アキはリーン達に背を向けて監視するための場所に移動していく。……その時彼女の方に向けられた翼狗の大総裁がまたほんの僅か震えたことに気付かずに
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