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「え……ええ?!」
「う、うそ……!!」
「な、なにぃ?!」
そのあまりにもショッキングな光景に小鬼の腕を斬られることを覚悟していたシェナさえ驚愕の声を上げてしまう。ざっくばらんに切られた小鬼の腕は演習場の地面に落ちそれに巻き込まれるように切られた形水も核が斬られたのかその体が消滅していった。しかしそれだけでは終わらない。エクゥスはわざとらしい声と共に指を動かす。
「おおーっと……指が滑った!!」
「いい?!」
なんとエクゥスの小鬼は裏拳を出すように左逆手持ちのナイフをシェナの小鬼に突き立てようとしていたのだった。幸い今度は反応できたシェナは小鬼の残った左手を使いエクゥスの小鬼の左手首を掴みナイフによる刺突を止め背中から蹴っ飛ばす。そして地面に落ちた自分の短剣を拾い構え、彼女に対し迎撃態勢をとる。
「へぇ……ぬくぬく育った中流階級の奴にしちゃやるじゃん」
「……そのフードに書かれた蜥蜴のマーク……あんた愚連隊だな?」
「ご名答……と言いたいところだけど、こんなの聞いてくれればすぐ答えてあげたのに」
愚連隊とはその名の通り、主に下流階級、特にスラム街の未成年で構成される不良組織である。その活動は小さいものなら中流階級へのカツアゲ、大きいものなら上流階級の嗜好品の強盗などやること為すこと質が悪く、上流中流どころか同じ下流階級の人々からも忌み嫌われているのである。
「で、その非合法組織があたしらに何の用だ、形水を剥がしてくれたことには感謝するからとっとと消えてくれない?」
「あーあー、ヤダヤダ。そういう差別的な目ホント嫌い。僕も僕の仲間も一応ペーパーテストを乗り切ってここにいるっていうのにさ……で、そういう差別的な奴らってさぁ、何されても文句は言えないよねぇ」
シェナ達の怒りが孕んだ視線に嘲笑7割、怒り3割の表情でエクゥスは指を鳴らす。すると後ろから彼女の側近であるトルチェを中心に身なりが汚い少女たちが形水を蹴散らしつつ現れた。その動きを見るだけでもわかる、おそらく戦えば確実にこちらの小鬼が破壊される。そこまでの実力差があった。
「さっきみたいな方法ならまだしも……こんなことしたら確実に失格になるよ?!」
「もう僕たちは何体もこんな方法で破壊した。でも一切監督官の先輩方は注意も警告も失格宣告もしなかったよ?そういうのは最後に行う?いやいや普通本当に試験に都合が悪けりゃ途中で止めるだろ?あれそのアホみたいな顔、まだわかってないみたいじゃん。じゃあ言ってあげるよ、
この試験において他受験者への妨害は合法なんだよ!!」
再びエクゥスは指を鳴らすと後ろで控えていたトルチェたちは指を一斉に動かし自分たちの小鬼をリーン達の小鬼に襲い掛からせる。
その凶刃はもう目の前に迫っていた
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