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「全員、試験は一時中断!小鬼はその場に置いて構わないから速やかに演習場から退場しなさい!」
一番最初に異常事態が起こった中央エリアで監督官のアキは通る声で全員に指示を通す。その声は現象を始めてみたエクゥス達愚連隊のメンバーや戦っていたリーン達も届く。しかしリーンとテリアシーヌはさっきまで戦闘をおこなっていたので形水が食われるところを見ておらず何が起こったんかわからない。
「え……?!何、何が起こってるの……!?」
「あなた達、一体何が起こったというのですか?!」
「お、お姉様………じ、実は………!!」
リーンとテリアシーヌの疑問と焦りに狼状況に狽えながらもやってきたダリアが説明する。その説明に対してテリアシーヌは焦りと驚愕を露わにして、リーンは考察を始める。
「地面から染み出てきた悪魔が形水を食べたですって?!そんなの捕食形水じゃないですか!!まさか学園に侵入してきた個体………?!」
「………おかしいよ。ここは学院が許可した悪魔や封魔傀儡以外は入ることができないから元々中にいた個体なんだろうけど………でも、捕食形水は練習用や防衛用に調教できるような知性を持っていない悪魔………ソロモン女学院がそんな危険な悪魔を飼っていたっていうの………?!」
捕食形水とは、読んで字のごとく捕食能力を持つ形水のことである。一般的な悪魔は自然から発生する魔素を吸収することで栄養を取らずとも生きていくことができるのであるが複数の形水がキャパシティを超えて融合したことにより生まれてしまう捕食形水は消費する魔素の量が吸収する魔素の量をはるかに上回っているのである。そのため捕食形水は常に飢餓感に襲われ魔力を持っている物質、他の悪魔や封魔傀儡、人間などを捕食するのである。
「もちろん、私たちはそんな怪物を所持していないわ。本来はただ図体がデカいだけの大形水を最後に出すつもりだったのよ。………最もそれも今では行方知らずだけど。まぁ、今はそんなことはどうでもいいわ早くあなた達も集まって全員で西方面に向かい演習場を出るわ」
「分かりました………ダリアさん行きましょう」
「は、はい!!お姉様!!」
「はい!!」
彼女たちの話に入ってきたのはエクゥス達愚連隊のメンバーを含む受験生を引き連れたアキだった。どうやら万全を期すために自身が担当する周辺の監督官が受験生を引き連れ非難させるようである。リーンはもちろんテリアシーヌも、一瞬リーンを見て悔しそうに顔をゆがめるがこの余りの異常事態でいがみ合うほど愚かではないため素直に応じその一団に加わり西方向、教官がいる方面に向かおうとする。と、その時
「あ、あああ、ああああああああああ?!!」
突如、教官から悲鳴が響き渡る。その声に思わずアキだけではなく他の避難誘導や点呼ををしていた生徒会執行部のメンバーも彼女を確認する。その様子は普段の教官の様子とは明らかに違うことは明らかだった。一番近くにいたレイスは思わず近寄り錯乱している彼女を落ち着かせようとする。
「ど、どないしたんや、教官?!そないおっきな声上げて………?!そいつは蛇神………!!おい、教官、あんた何を見た……〈ハンターズ・サーモ・アイ〉で一体何を見たんや?!」
「……逃げろ、お前たちここに来なくていい………どこでもいい逃げるんだ………は、早くしろぉぉぉぉぉぉ」
レイスの問いかけには一切無視し、演習場に向かい大声を上げる教官、とそのほぼ同じ瞬間、中心エリアにアキ達の一団が円の中心になるように2メートル程度の無数の曲線状の物質が地面から突き出るように出てきた。リーンとテリアシーヌは所見であったがその他の受験生たちは見たことがあり恐怖によって喉を小さく鳴らす。そしてその恐怖を絶叫として外界に出す前に異常の方からアクションを起こす。
地面が一気に盛り上がり曲線状の物資が、いや巨大な牙がさらに伸び自分たちを飲み込むかのように急速に迫ってきたのだ。
あまりのスピードに声を出そうとした者もそのあまりに現実離れした状況に呆けてしまう。牙がせり上がって閉まり日光と自分たちの命を断絶しかけたその時、アキはすぐさま詠唱をかける。少しでも命を救うために。
「来い、鬼神!!“光壁ヨ・簒奪者ヨリ・我ガ聖域ヲ・守レ”!!」
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