第一章:期待の旅立ち

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 王立ソロモン女学院。操魔国家マリオネツトの王家が管理経営を行っている学園であり、悪魔の魂を宿した人形「封魔傀儡(デモンドール)」を操る魔導士「遣い手(コマンダ)」を育成する王国屈指の名門校である。  では、そもそも封魔傀儡(デモンドール)とは遣い手(コマンダ)とは何なのか?その質問に答えるためには数世紀前に遡らなければならない。  この世界の人間は自然からあふれ出ている魔素というエネルギーを吸収することによって魔法を使うことができる。しかしそれは便利な力とはとてもではないが言えなかった。  男性は多くの魔素を吸収でき強い魔法を行使できるがそれを精密に操作することができない。女性は逆に魔素を手足のようにコントロールすることができるが魔素をわずかしか吸収できず強い魔法を行使できない。  マリオネツト王国初代女王「アルミシア・ラ・ソロモン一世」はその問題は今自分たちの脅威である悪魔を使うことで解決するできるのではないかと考えた。  悪魔とはこの世界とは違う異界に生息している体のほとんどを魔素で構成されている異形の怪物である。高い魔力を操作し、辛うじて倒すことができても完全に消滅させられるわけではなく異界に帰っていくだけであり、人間からして見れば実質不死身に近い存在である。  特に「名有り」と呼ばれる個体は固有の魔法を使い、当時「名有り」悪魔を中心とした悪魔の軍勢は災害のように王国を襲い、その結果男性の騎士団や有志の歩兵の総数は3割を切っていたと言われている  アルミシアは決死の作戦で多数の犠牲を出しながらも当時の悪魔たちを率いていたリーダー格の悪魔、豊穣の蜘王(バエル)を捕獲することができた。そして、その体を分析し特に魔素濃度が高い悪魔の核を取り出し、内部に封魔の呪いがかけられた絡繰り人形の中に封印、使役することに成功した。  これによって悪魔と王国の戦いは一変した。豊穣の蜘王(バエル)の持つ高い魔力とその絶対的な固有の魔法に加え、アルミシアの極めて精密な魔力コントロールによって一気に形成は逆転し、悪魔の集団を敗走させ幹部格の名有り悪魔71体を捕獲、人形化させることができより軍備を強くした。  結果として当時小国であったマリオネツトは悪魔の軍勢を退けその力を我が物とし国益を上げていったことにより操魔国家という異名を得るほどの大国となっていった。  そして現在、王家の尽力により封魔傀儡(デモンドール)の外側の量産が成功し女性ならば一般市民でも日常生活で使用できるようになっていった。  その中でも王国の近衛団や騎士団に所属する人形遣い達のことを畏怖と敬意をこめて遣い手(コマンダ)と言われるのである。
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