47人が本棚に入れています
本棚に追加
/169ページ
「……だからこの国、特に初代女王陛下が創設したソロモン女学院を卒業した遣い手は最も尊敬される職業の一つなんだ。……で合ってるよね、リーン、フラン?」
「うん、合ってるよシェナちゃん」
「最後に私たちに聞かなければもっとよかったですけどね」
と、三人は馬車に揺られながら個室にて談笑をしていた。
今現在彼女達を含めた入学者たちはソロモン女学院行きの馬車に乗り目的地を目指していた。馬車を引いている馬型の封魔傀儡神鉄馬は窓からの風景を見る限りかなりのスピードでこの馬車を動かしているはずなのであるが、室内は快適そのものである。
その後は他愛もない無駄話をしていたのであるが、しばらくして突然窓を見ていたリーンが大声を上げて二人を呼ぶ。
「シェナちゃん、フランちゃん!!見て、着いたみたいだよ!!」
「!!わぁ、ホントだ!!スゴイ近いデカい!!」
「ああ、なんという素晴らしい校舎なのでしょう……」
他の個室からも歓喜の声が姦しい声が響いてくる。リーン達が住んでいる住宅区の少女たちは淑女として礼儀正しく教育されている子供が多いが、この時ばかりはたとえ親が見ていたとしても許されるだろう。それほどまでに圧巻の光景だった。
天高くそびえる時計塔にそれを守護するように囲んでいる六つに分かれた巨大な校舎。まるで子供の時に読んだ絵本の城のようなそんな神々しさがあった。
リーンたちが今移動しているこの場所は学院区であり、学院関係者以外は入ることができないのである。なので今まで遠くからしか見えなかった学院をこの目で見れたことと、自分が誉れ高いソロモン女学院の生徒になれたのだという感動がリーンたちを強く高揚させていた。
すると個室に上に付けられていたスピーカーから音楽とともにアナウンスが鳴った。
『もうすぐ、校舎前停留所に到着します。入学者の皆様は降りる準備をよろしくお願いします』
*
「アキ。そういえば今日じゃなかったか?中等部の入学日って」
「知ってる。だからこそ多少無茶をしてこの子を捕獲したんだから」
ソロモン女学院高等部2年校舎の廊下。銀髪に褐色肌の少女と長い黒髪を一本にまとめて結っている少女が馬車から降りる少女たちを眺めていた。黒髪の少女はその手に持っていた犬の人形を仕舞い銀髪の少女に告げる。
「ナーシャ。徹夜明けで悪いけどみんなを呼んでもう一仕事よ。……もしかしたら適合者がいるかもしれない」
最初のコメントを投稿しよう!