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その瞬間、入学式場は静寂に包まれた。あまりソロモン女学院の内部組織の序列に詳しくない新入生や新聞記者たちはそのあまりの静まり方に違和感を持つが在校生たちは汗をだらだらと流して顔を伏せたり、知らんふりをしている者たちもいる。また体を震わせながら口を押さえ吹き出してしまうことを我慢している者たちもいた。
困惑、恐怖、爆笑。式場にいる人物の様子はその三様に分けられているがその当事者であるジュリアの心境はたった一つだった
静かな、静かな、激怒だった。彼女は拡声魔法具を停止させその代わりに通信機を起動させる。
「……………選挙管理委員会。今すぐ手はず通りに転送を開始しなさい」
【よろしいんですか?とりあえずこの場を収集した方が……………】
「いいからやれっっっっ!!!」
【!!は、はい!!来い、異次元の猟犬っ!!】
通信機越しにジュリアから怒鳴られた生徒はすぐさま封魔傀儡を呼ぶ詠唱を行うすると式場にも変化が生じる。式場の上の席の手すりから黒い骸骨の犬のような封魔傀儡が体をせり出し何体も現れ始めた。そのため会場は大いに騒めき始める。
「あれって、異次元の猟犬?!希少な悪魔のはずなのにあんなにいっぱい……………!!」
「………それはあのぐらいの数入りますよ、ここにいる全員をオリエンテーション会場に転送するには」
ジュリアはリーンの驚きの反応に対して冷たい反応を取りつつ指を鳴らす。その瞬間、異次元の猟犬達は一斉に口が開き、黒い液状の球体が発生しそれらをかみ砕いた。
その時式場にいる人間たちの足もとから黒い液体が発生しその体を包み始める。いきなりの出来事に在校生も含めて大いに騒めき始めるが黒い液体に飲み込みこまれるとその姿を消してしまう。その後も次々と式場から人間が消えていき最後には、異次元の猟犬の操者と思われる生徒たちとリーン、ジュリアだけが残った。
思わずリーンは距離を取り彼女から離れようとするが彼女の足もとからも黒い液体が発生し彼女の周囲に展開し始める。そしてその液体に飲み込まれる前リーンは自分の攻撃的な笑みを浮かべるジュリアに問いかける。
「これ、異次元の猟犬の転送魔法……………!一体どこに飛ばしてるんですか?!」
「………別に、変な所には飛ばしてないわよ?彼らはギャラリーだもの大切にしなくっちゃ」
「ギャ、ギャラリー?」
「ええそうよ。楽しい楽しい、
公開処刑のね……………!」
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