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第二章:オリエンテーションという名の公開処刑
黒い液体の中に閉じ込められたリーンは何とかその中から出ようとするも泥のような感触の黒い液体を掴むことはできず出ることはできない。
「………やっぱりすでに発動した〈ブラック・マッドワープ〉は止めれない……………。それにしても、一体どこに転送されて……………」
とため息を吐きながら上を見ていたその時、頭上を覆っていた黒い液体から隙間ができそこから光が漏れだしていく。またそれが伝播していくように周りにあった液体も地面に溶けるように落ちていく。どうやら転送場所に着いたようである。リーンは頭上に輝く光から目を守りつつその転送場所を見渡す。その場所にリーンは見覚えがあった。
「………ここって、そしてソロモン女学院の……………決闘場?!」
その場所は上から見ればおそらく途轍もなく大きな円状の施設だった。自分が今立っている場所はその中心部に近い場所でそこにあった大きな台座の上に自分は立っていた。また周りを確認すると制服姿の少女たちや新聞記者と思われえる人たちは動揺しながらも用意された座席に座っていた。
この場所はソロモン女学院の敷地内にある決闘場。年に一度各主要都市のソロモン女学院分校の優秀生徒達を集め各行の誇りをかけて戦う「魔柱闘祭」の会場となっている施設である。実際リーンも初等学校の時、授業の一環として魔柱闘祭を観戦しに行ったときここに入ったことがある。
その後もリーンは興奮を隠せずコロシアムをきょろきょろと見まわしていると拡声の魔法具越しに声が聞こえてくる。
『ふふ、リーンさん?気に入っていただけたかな?』
その声が聞こえてきた方向、ちょうど決闘場の中心部の線上で自分と対面する台座の上に発生した黒い液体の渦の中から聞こえてきた。その黒い渦は次第に地面へと消えいきその中からさっきまで自分の前にいた人物、ジュリアが現れた。またそれと同時にリーンが乗っている台座から拡声の魔法具が付いた棒がせり上がってくる。どうやらこれで会話しろということのようだ。
『ソロモン女学院決闘場。魔柱闘祭と学内試験以外では解放されない由緒正しい場所よ。あなた達のオリエンテーションのために準備して解放してもらったのよ』
『オリエンテーション………って何をするんですか?私途中から来たので知らないんですけど……………』
「にっぶいなぁ……………つまりこういうことをするんですよ、来い風精霊術師・戒!!』
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