第二章:オリエンテーションという名の公開処刑

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 ジュリアの号令が聞こえると彼女の前方から封魔傀儡(デモンドール)を格納する底なしの闇の穴が開きさらにそこから巨大な竜巻が発生する。少しすると闇の穴は消え、それとほぼ同時に竜巻も霧散しそこからジュリアが呼んだ封魔傀儡(デモンドール)が出現する。  その封魔傀儡(デモンドール)は緑色と白色を基調色としその右手に先端に筒が取り付けられた長い杖を持っていた。シルエットだけを見れば背丈も含めて人間に近い、しかしその背中に生えている巨大な一対の回転翼式推進器(プロペラ)によって人外の存在であることが分かる。  風精霊術師(シルフィードウィザード)・戒(・カスタム)。外部内部共に改造を施されたジュリアの封魔傀儡(デモンドール)である。その姿に会場の在校生たちは興奮する。 「すごい!!精霊系封魔傀儡(デモンドール)の改造機種!!精霊種は気難しいから改造なんてなかなかできないのに……………!!」 「ノルステム家はスゴイ!!あの羽のパーツ一つで私ら庶民なら一か月は遊んで暮らせるらしいよ!!」 「それにあの杖も最新モデルの奴でしょ?!確か風魔法の出力が通常の三倍近くになるっていう!!」 悪魔、特に「名有り」の悪魔の魂を封印し封魔傀儡(デモンドール)へと内蔵する場合その封魔傀儡(デモンドール)の姿はなるべく生前時の悪魔の姿と同じでなければ起動させることができない。悪魔が自分の姿とかけ離れている姿に対して嫌悪感を抱き動くの拒否するためか、それとも単純に精密な駆動系統が違うと動けなくなってしまうのか結局その理由は分からないが、とにかく動かすことができなくなってしまうのである。  本来その悪魔が持っていない戦闘能力を発現させる変形武装(ギミックウェポン)が通常の封魔傀儡(デモンドール)の通常武装や部位にカモフラージュするように付けられているのも、それが自分を贄として発動する人柱合魔(スケープリンク)の時にしか使用できないのもそれが理由である。  もちろん通常の悪魔を素材とした封魔傀儡(デモンドール)も同じく悪魔時の姿とかけ離れていたらを動かすことはできないが、それでも通常の悪魔は封印している装置から洗脳することによって悪魔に自分の姿を誤認させる暗示をかけ、人工的なパーツで改造をすることができるのである。  最も現状安定して洗脳できるのは獣人(コボルト)蜥蜴人(リザードマン)といった知能の低い悪魔ばかりで知能の高い精霊種、特に世界を構築する四元素の精霊の洗脳は特に難しいのである。 『どうかしら?私の風精霊術師(シルフィードウィザード)・戒(カスタム)は?下流中流階級の人間にはもちろん並の上級貴族だってほとんど手に入れることができない私の特注機よ』 『はい!!すごいです!!』 『ふふ、素直でよろしい。じゃあ、さっそく模擬戦を始めましょう。さぁあなたも自分の封魔傀儡(デモンドール)を出して頂戴』 『……………え?』
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