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演習場の中央部。そこでリーン、シェナ、フランはしゃべりながらアタッシュケースの中を確認し試験の準備を始めていた。アタッシュケースに入っていたのは退魔の呪いがかけられた短剣とそれを収納するための鞘と合体したベルト、おそらくリタイヤの時に使う物と思われる簡易結界発生宝玉、そして、緑色の鬼の人形が底に収納してあった。三人はベルトを腰につけ宝玉をポケットの中に入れると人形をアタッシュケースから取り出し自分たちの前に置きその後頭部に両手の人差し指を当てた
「じゃあ、やってみましょう」
「うっしゃ、いくよ!」
「封魔傀儡接続開始」
リーンがそう言うと人形の体が光りだしその姿が一瞬のうちに目の前からなくなった。一瞬シェナとフランは動揺するが次の瞬間、さっきまで人形があった場所に黒い底なしの穴が出現する。さらに穴の縁を掴むように緑色の傀儡の手が現れ二人が驚く暇もなくよじ登ってその姿をリーンたちに現す。
リーンたちの肩程度の身長の小さな体と角に突き出した長い鼻、腹部だけ出っ張りあとは枯れ木のように細い。その体そのものは人工物であったが今にもこれが動き出しそうな、そんなおぞましさがあった。またその右手には鉄でできた短剣が逆手で握られていた。
小鬼。今回限りの相棒である
「うげ、やっぱりキモイな……!」
「そうですね…………それにしてリーンさん、さっき召喚するとき全然驚いていませんでしたね……すごいです。」
「うん、お母さんがやってるところをよく見てたから……。それより早く動作確認をしよ?また先生に怒られちゃうよ」
リーンは自分の小鬼の目の前に両手を突き出し指を動かす。その動きにシンクロするように小鬼は彼女に背を向けさせ人間のように走らせたり、動いたりナイフを両手間でポンポンと投げさせた。その結果を見るとリーンは満足げに頷く。
「よし、動作確認完了」
「……本当に滑らかに動かしますよね、ちょっと悔しいです」
「よし、あたしらもリーンに負けられないね」
滑らかに動作をするリーンの小鬼とぎこちない動きで短剣を振る自分たちの小鬼の動きを比べて思わず苦笑してしまうが、それでも彼女たちの意気込みは衰えずより強くなっていた。シェナとフランの確認も終わったがそもそも確認が終わったことを誰に言えばいいのか三人が周りを確認していると後ろから誰かに話しかけられた。
「あなた達、動作確認は終わったの?」
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