47人が本棚に入れています
本棚に追加
/169ページ
第一章:蠢く陰謀
「こちら、ジャスミン。形水の数が半数を切った。中間報告をせよ」
【はーい。今私がいる東エリアではいろんな子達が少ない形水を追ってわちゃわちゃ戦ってますねえ】
【ウチのいる西エリアも一緒やなぁ。視野が狭なって周りが見えとらんわ。中心の方とかにはまだそれなりにおんのに】
【き、北エリアは王下五貴族のノルステム家のテリアシーヌさんが自分の属家の子達を束ねて戦って、い、今中央エリアの方に向かっています…!】
【こちら南エリアはスラム街に根城を置く愚連隊のリーダー、エクゥスが中心になりふり構わない方法で次々と討伐していっています。そして北エリア同様中央エリアに向かっています】
【……中央エリアです。ちょうどその二勢力が到着しその近くの形水の討伐を開始しました。何か問題になるようなことがあればまた連絡します】
「分かった。中央エリアだけではなく他のエリアも何か問題が発生すれば私にまず連絡するように。以上連絡を切る……。さて、ここからどうするか……」
試験教官ジャスミンは生徒会執行部達との連絡を切った後再び演習場を確認する。ざっと一瞥すると受験生たちは二通りに分けられる。それはマンセルを組んでいるか、いないかと言うことである。
意外と国では知られていないことだが基本的に遣い手が悪魔と戦闘を行う場合よほど実力差が離れていない限り2人以上の人数で戦うことになっている。実力がほぼ互角の悪魔相手に封魔傀儡を動かしている場合遣い手は無防備になってしまう。だからこそその隙を埋め己を防備してくれる仲間が絶対に必要なのである。実際今残ってる受験生は3人以上のパーティを組んでいる者たちばかりである。
いまだに100人以上残っている演習場を見ながらジャスミンは通信魔法具を再び発動させる
「(現在演習場に放った形水は99体。本当は10体を切ってから放つつもりだったが、彼女たちの真価を試すならもう放ってもいいだろう)……私だ、大形水を転送しろ」
【…………了……解】
彼女が通信越しに連絡すると雑音が多く混ざりながら返答があった。一瞬どうしたのか質問しようとするがすぐに切れてしまった。
「なんだ………何か………胸騒ぎがする」
最初のコメントを投稿しよう!