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第一章:期待の旅立ち
「リーン、大丈夫?合格証明書はちゃんと持った?何か忘れてるものとかない?今ならまだ間に合うわよ」
「大丈夫だよ、お母さん。必要な書類は昨日のうちに全部鞄に入れたから、心配しないで」
重厚なレンガで作られた一軒家の玄関の前でリーンと呼ばれた金髪にヘアバンドをつけた少女とその母親と思われる女性が玄関前で話していた。母親は心配そうな表情でリーンを見つめていたがリーンは母親の手を握り自分は大丈夫であることを伝える。
「あ、馬車がもうすぐだからそろそろ行くね。行ってきます!立派になって帰ってくるからね!」
リーンは母親から手を離すと手を振って馬車の停留場がある方向に走っていった。母親はそんな娘の後姿を見えなくなるまでずっと見つめていた。
「頑張ってきて、リーン。お母さん待ってるからね」
*
「もう、リーン遅いよ?!」
「ご、ごめんなさい。途中で転んだおばあちゃんを介抱していたら遅くなっちゃって…」
「まぁまぁ、シェナさん。とりあえずちゃんと間に合ったんですからいいじゃないですか」
リーンの家がある住宅街からおよそ50メートル、リーンがこれから行くある場所へ直通の馬車の停留場には多くの少女たちが馬車の到着を今か今かと浮足立っていた。その一団の中にいた二人の少女が馬車到着ギリギリにやってきたリーンに話しかけてきた。
赤髪のポニーテールの勝気な少女はシェナ。
青髪のロングヘアのお淑やかな少女はフラン。
彼女たちはリーンの幼馴染で彼女たち二人もこれから行くある場所に行くことになっていた。三人が話をしていると蹄がレンガの道路を蹴る音が響き渡った。少女たちはその方向を見ると300人は入るだろう豪奢な馬車を引く全高全長共に一般的な馬の二倍はある8本の足を持つ鉄製の馬が現れた。
「すごい、あれ神鉄馬だよね?!確か木偶馬の数倍の牽引力とスピードを持つっていう……!」
「ああ、王家のパレード以外であたしも見たことがないよ……!!」
「それに引いてもらう馬車に乗ってあの場所に行けるなんて……感激だわ」
リーン達がは三者三様のリアクションを取っているうちに神鉄馬と馬車が停止し少女たちを招くように馬車の入り口が開いた。その様子を見て少女たちは次々と乗り込んでいく。もちろん彼女たちも
「さぁ行こう私たちの学び舎、ソロモン女学院へ!!」
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