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今日はみんなで回転寿司に来た。連れてきてくれたパパがにこやかに言った。
「今日は何色のお皿でもいいぞ!」
「やったー!パパありがとう!」
「パパだーいすき!」
妹の花子とパパに抱きついた。目の前を通って行くのは、大好きなサーモン、いくら、鮪……。すでにお口の中は海鮮の幸で満ちていて、心は遠洋漁業の漁師さんのようにやる気まんまんだった。
「まずは美味しそうなエビ!いっただきまーす!」
「まてまてーい!」
手を伸ばした僕の手を、いきなり誰かが掴んできた。僕はギクリとして振り返った。
「その声は、トクホマン!」
そこにいたのは緑色した二本角の怪人、『トクホマン』。トクホマンは食欲丸出しの僕を見てニヤニヤしていた。
「おいしいものは、脂肪と糖で出来てるんだぞ~?そのカロリー、どこにいくのかな~?」
僕はハッとした。自然とふっくら体型の柔らかいお腹に手を当てる。
「それ以上太ると女の子にモテなくなるぞ~食べていいのかな~?」
そういえば、同じクラスの美咲ちゃんがデブは嫌いって言ってた。僕はすっかり食欲がなくなってしまった。さっきまでは海の海鮮絵巻のような輝いて見えたお寿司のレーンも、もうただのカロリーの行進列だ。お腹の空腹を抑え、僕は涙目で言った。
「パ、パパ、僕……」
「やめるんだ!トクホマン!」
そこへ、明るいあの人の声が聞こえてきた。
「その声は、3パックマン!」
まん丸いほっぺた。ジャバラのように三つにくびれたお腹をした人が、円らな瞳を決意に滲ませて叫んだ。
「一家団欒のご飯の楽しみを奪うことは、僕が許さないぞ!」
「うるさーい、お邪魔虫!まずはお前の脂肪と糖質を分解してやる!」
トクホマンが乗ってきた飛行船からカテキンたっぷりのお茶を放出する!直撃した3パックマンはその場に倒れてしまった。見る見るうちにふくよかな体型が引き締まり、3パックマンの三つに割れたお腹が小さくなってしまった。
「わああ、痩せてしまって力が出ない……」
「3パックマン!頑張って!」
そこへ糖子ちゃんが駆けつけた。
「脂肪おじさんが作った新しいカロリーよ!」
そこには、くっきり三つに割れた新しい三段腹が用意されていた。糖子ちゃんは正確で美しいフォームを構えると、まっすぐ3パックマンに投げつけた。
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