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父は俗に言う純血種で、血統的に格上の妻がいる。
贄でしかなかった筈の母が俺を孕み、血統を重んじる一族から疎まれた存在として生まれた。
母は、俺と人の世で生きる事を選択した。
しかし、雑種と人の違いに、母を困らせて来た。
一番厄介だったのは、病気になった時だったと聞いている。
原因不明の低体温で元気がなくなった俺を、小児科に連れて行った時、血液検査の結果が異常値を示したのだ。
何とかして誤魔化せないか混乱している母に、手を差し伸べたのが、小児科医の阿部園子だった。
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