「希望下さい」

4.

翌日、事件は起こった。

「あと、希望、下さい」

また108円でゴミ袋を買って、100万で希望を買いに来たのだ。あのサラリーマンが。
ちょうど、店長は倉庫に商品を取りに行っているし、サラリーマンを除いて、お客様は2人だけだった。
狙ったんだろうか？と思いながら答える。

「お客様、申し訳ありません。当店では、希望、は取り扱いしておりません」

淡々と言う。何回も飽きないのか？とも思った。

「はい。このお店で、希望は売っていないんですよね？」
「はい。申し訳ありませんが、そうです」

あれ？今日は引き下がらないんだ？

「…では、後で少しだけお時間頂けませんか？」
「…は？」

そう言ったサラリーマンは少し緊張していて、私はお客様に失礼な言い方をする程度には混乱していた。