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「まさか、緑が祖父の作った憧れの鯉のぼりだったなんて。どうりで初対面で、強く惹かれた訳だ。今でも信じられねぇよ」
昇瑠さんは、首を捻りながらお揃いの作務衣を着た僕のところへとぶつぶつ呟きながら戻って来ました。
僕が群れからはぐれ、人間になってから早1年。
人間と交わった僕だけは、奇跡的に人間のままで昇瑠さんの傍に留まることができました。
「それは、昇琉さんが僕の運命の相手だからね。たとえ、違うものでもきっと出逢えてたよ。だからこそ、あの日運命は昇瑠さんの前へと僕を運んでくれたんだ」
「そうか? それにしても、お前の両隣りにいたあの2匹、絶対緑のコト好きだったよなぁ」
「それはないよ! いつも苛められてたから違うと思うし……」
すっかり鯉のぼり職人の弟子にして昇瑠さんの恋人となった僕は、最高の人生を送っていたのでした。
運命の相手と出逢える確率――。
それは、運命だったらきっとどんな形であれ100%でしょう!
そう僕は強く思ったのでした。
完
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