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あれは中学一年生の三月。 先輩たちが巣立って行く様子を見守り、わたしも憧れの先輩と同じになれるよう、次年度に向けてたくましい一歩を踏み出しかけていたときだった。 わたしの身体にひっそり隠れていた病が目を覚まし、あっという間にわたしの未来を食い散らかしてしまったのだ。 未来を満腹になるまで食べた病はそれだけで足らなかったのか、次にわたしの身体までもを(むしば)み始めていた。 治療方法は海外での移植手術しか術は無くて、莫大な費用が必要らしい。 もしもドナー提供者が現れずに治療が受けられないと、余命は三ヶ月と幾日。 つまり、百日あるか否かだった。
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