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「生きられるかなじゃなくて、生きるんだ。最初から絶対に死ぬなんて決めつけちゃあ、楽しめるものも楽しめないぜ?」
「……ん」
堪えられなかった雫を落として、わたしは頷いた。
やっぱり、お兄ちゃんは望んだ言葉をかけてくれるのだ。
「それに病は気からって言うし、ミライの性格ならすぐに治るって!」
瞳に溜まっていた涙がお兄ちゃんの人差し指で拭われ、「そうだ、綺麗な桜が撮れたんだ」と言って、携帯で撮った映像を見せてくれた。
わたしは、綺麗な自然とお兄ちゃんの優しさに魅せられて、我慢できずに泣き出してしまう。
百は嫌いだった。
だけど今は、百が好きだ。
わたしが百歳になったとき、お兄ちゃんは百四歳。
縁側にでも並んで座ってるのかな。
そんな光景を想像すると可笑しくて、最終的には泣きながら笑っていたのだった。
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