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「それで、サクラはもう募金はしてないの?」 ジョッキのビールを喉を逸らして胃に流し込んだナルコが、頰を赤らめて出し抜けに訊いてくる。 「何年前の話してんの」 久し振りに自分の慈善行為、もとい罪滅ぼしを掘り起こされて肩をすくめる。 「もうやってないよ。てか、夏休み明けには終わってたし」 「なあんだ。ギャップ萌えしてたのに」 「萌えるな」 赤ら顔で軽快に笑うナルコにデコピンを食らわす。それでも壊れたロボットみたいに、へへへと声を漏らしているから、酔いが回ってるんだと実感する。まだ始まってから三十分も経ってないのに。
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