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「どういうことですか二階堂先生」
女性教員の怒気を含んだ声が、不思議と耳を通り抜けていく。問いただされているのに緊張感はなく、感覚が麻痺しているようだった。
まるでこの場所を遠くから観ている傍観者のそれ。怒声に対して辛くも虚しくもなく、俺は一点を見つめていた。
そこにはいつだって笑顔を絶やさず真向かいに座っていた彼はもういなく、馴染みの同僚からの軽蔑や嫌悪の目を向けられるだけ。
ただふと、以前言われた彼の言葉を思い出す。
『先生はどんなことがあっても、このことを後悔はしないんですよね?』
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