6人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
藤五郎の恋
早速に藤五郎大枚をはたいて、結崎の裏を返せば、結崎和かに微笑み『来年には藤五郎様の元へ』と宣った。
藤五郎、早速家に帰りし、親父様、お袋様に、この嫁取りを話しをせしば、両親共に反対せしもの。
『この伊勢谷百年なりしが、その跡取があろう事か、遊女との契り・・・ならん、ならん』と怒り、親族集めしが、親族揃っては堅物成り、藤五郎は吊るし上げに会い話さえ聞かなんだ、寄っては、この話しは無かった事と相成った。
それ以来藤五郎は食も進まず、水とて、とらなんだ。
年が明けて、めでたき元旦には伊勢谷藤五郎はゲッソリやせおとろえて、亡くなった。
『この様な事なれば、例え遊女とて、添わしてやれば』と父親、母親が嘆き悲しみたるが、後の祭りなりし。
4月にて年季奉公開けて、結崎は伊勢谷にて藤五郎の死を知り嘆き悲しんだ。
『例え遊女とて、人にて恋もすれば夫婦にもなりんし』と嘆いたり。
そのまま結崎は姿を江戸から消した。
数年後、身なりしボロの着物を纏い、髪はザンバラにて、麻布宝徳寺、丑三つにて藤五郎眠りし墓を荒らさんとする、常軌を逸し女が捕まった。
町方、その異様な常軌を逸し女が、大名道具の結崎花魁とわかりしが、常軌を逸したる為に藤五郎の骨を貪り食う様に驚き、これ気狂いなりして、無罪放免となった。
最初のコメントを投稿しよう!