死神モルス

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 何度目かの目覚め。 (おなか すいた)  また音が聞こえ、灯りと足音が聞こえる。格子に近づこうとして慌てて下がった。 (むち) 大人しく男が入ってくるのを待つ。 (いい匂い)  物も言わず男の足にしがみついた。自分から男のモノを剥き出しにして口に頬張る。懸命に尽くした。そしていい匂いを手に入れた。  そんなことが何回か続く。  灯りが幾つも見え、複数の足音が聞こえた。いつも通り牢の奥に下がる。何本もの松明が眩しくて手で光を遮った。 「仕上がったか?」 「多分」 「よし、連れて来い」  引きずり出されて両脇を抱えられる。歩く力が無い。逆らうなど欠片も考えない。地下を出ると目が眩んだ。昼間の明るさが目を刺す。周りを見もせず目を閉じていた。  水の音がする場所に突き飛ばされた。そばに人を感じて目を開けた。 「の、くす?」 「ルクス! ルクスっ!」  酷い姿だ。悪臭がする。それでも抱き合った。もう離れたくない。互いのことしか見えない。  そのまま何度も水を浴びせられた。女がそばに来て二人を泡で包み、洗った。その間も手を離さない。今度離れたら二度と会えないような気がした。  きれいにされて、裸のまま連れて行かれる。そこは大きな台所のように見えた。暖炉があり、地下は冷え切っていたから久しぶりに暖かい。  自分たちを買ったあの男が座って待ち受けていた。 「どうだ、地下は居心地が良かったか。きれいになったんだ、また地下に戻るか?」 声も出ず強く抱き合う。怯えが目に走る。 「どうした、じゃじゃ馬。すっかり骨抜きになったな。二人とも離れたくないか?」 必死に二人で頷いた。 「はなれたく、ないです」 「いっしょが、いい…です」 「たいした進歩だ。なら何でもするか? 言うことを聞いていれば一緒にいさせてやる。飯も食わせるし水もやろう。どうだ?」 「おねがい、します」 「はい」    
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