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「今の……どう言う意味?」
「ノクス…僕たちは…」
どう言葉を選べばいいのか。
「ちゃんと言って」
ごくりと唾を呑んだ。
「自分たちを競りで買いに来る連中に見栄えよく見せろって言われたんだ」
「見栄え…よく?」
「だから……」
また言葉が止まる。
「なんだ、まだ分かっていないのか?」
いつの間にか船長が戻ってきていた。
「いいか、中に入ったらしっかりと自分たちが使える奴隷だということを証明して見せるんだ。色っぽくするんだぞ、そうすれば高値で売れる。ノクス、お前もしっかりやれ。じゃないとルクスだけが売られていくことになるぞ」
ノクスの体が大きく震えた。
「大丈夫。僕がいるから。大丈夫」
「じゃ、行け。ちゃんと見てるからな」
さっきのイヤな笑い方をした男が迎えに来た。
「今回はいいのを連れて来たな。これならモルスは食いつくだろう」
「そう思うか?」
「極上品だよ。二人一緒に売るのか?」
「そのつもりだ。精いっぱい値を吊り上げたい」
そう言うと二人の前で男に金を渡した。
「いいよ。味見はしていいかな?」
「もちろんだとも! じゃ、頼む。モルスに売れるように上手いことやってくれ」
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