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二人は鎖もつけられず、皆とは反対方向に連れて行かれた。
「どこへ…?」
「黙れ、奴隷のクセに質問か? 次に喋ったら殴るぞ」
船長とは全く違う。その目にはどす黒い欲が生まれているようだ。そして冷たい目。
黙ってついて行くと小さな木の入り口があった。突き飛ばされるように中に入る。先に床に倒れたルクスが後から突き飛ばされたノクスを受け止めた。
「競りに…かけるんじゃ…」
「ああ、そうだ。だがその前に競りにかけるだけの価値があるかどうか調べないとな」
男は下を脱いだ。ルクスは何を求められているのかすぐに分かった。
「お前たちの衣装を破く気も痛めつける気もない。何せ目当ての客はとんでもないヤツだからな。だからちゃんと奉仕すれば何もしない。分かるな?」
ルクスは頷いた。
「僕だけでもいい?」
「ふざけるな。それに喋っていいとは言ってない!」
ルクスは諦めたように男の足元に跪いた。ノクスの手を引っ張る。その雰囲気でノクスも状況を察する。ルクスの手を握ってそばに跪いた。
「前に二人も要らん。一人は後ろに行け」
(後ろ? なに?)
分からないままルクスが後ろに回った。ノクスを一人で歩かせるわけには行かない。
「お前はこれを面倒見ろ」
ノクスは唇に付けられた柔らかい物を口に含んだ。もうそのことにほとんど抵抗はない。
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