競り

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「お前、後ろから舐めろ」 どうすればいいのか聞きたくても喋るのは禁止だ。仕方なく背中を舐めた。 「どこを舐めてるんだ! ここだ!」 男は尻を割って見せた。ゾッとする、こんなことはしたことが無い。 「なんだ、それは仕込まれてないのか? なら普通に売るわけには行かないな」  それでも動けないルクスに、男はノクスの顎を掴んで持ち上げた。指が食い込んですぐに青い顔になっていく。さして抗わぬうちに涎が垂れ始め、体から力が抜けていくのが分かった。  慌てて男の尻を手で撫でてその周りに舌を這わせた。 「出来るじゃないか。もうすぐ鐘が鳴る。それまで続けろ」  死にたくなるような思い…… どう自分を誤魔化そうとしても舐めているのは男の尻だ。何かが変化するわけでも無く、それでも男は前と後ろを舐めさせて気持ちがいいらしい。だんだん息が荒くなり、「う!」という声と共にブルブルと体を震わせイった。少ししてノクスの小さな声が聞こえた。 「ありがと、ございます…」  すぐに鐘が鳴った。男が振り返り、ルクスは髪を掴まれた。 「残念だ。もう時間だからな。さ、行くぞ」  口を漱ぎたい。けれどそんなことをさせてくれるとも思えなかった。徐々に溜まってくる唾液で何とか口を清めるようにそっと唾を吐いた。   
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