競り

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「なんだ、鎖無しか」 「ああ、これは最後に出すからな」 「なるほど、こりゃ面白い競りになりそうだ」  置いて行かれたのは小さな男のいる部屋だ。さっきの男の胸くらいまでしか背が無い。部屋はまるで女の部屋のようだった。白粉の匂いが染みつき、女もののような大きな鏡の前に椅子が置いてある。 「来なさい、きれいに仕上げてあげる」  ノクスが最初に座らされた。丁寧にブラッシングをされ、ルージュを引かれる。目元にキラキラした赤い粉を付けられた。 (ノクス…きれいだ……)  次はルクス。粉は青い色だ。 「うん、お前たちはこれだけで充分だね。赤い目、お前は目が見えないんだねぇ。自分の美しさを見ることが出来ないなんて憐れだね。……そうだ」 男はハサミを取り出して躊躇いなくノクスの胸にかかっている部分の布を切り取る。空いた穴から乳首が見えた。 「お前もだね」  切り取られたところから変えられてしまった乳首が突き出ている。 「おや! お前、いい胸しているね。じゃ両方見せてあげようね」 逆らうこともできず、両の胸のところに穴が空く。 「うん、いい出来だ。とてもいやらしく見えるよ。美しい変態だね」 その言葉にショックを受けた。 「変態なんかじゃ…!」 「だってこの乳首はそうだろう?」 微かに爪で引っかかれて思わず吐息が漏れる。 「ずいぶん仕込まれたみたいだね。いい買い物になるだろうよ」    
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