51話

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51話

「皆さんのいらっしゃったチキュウとは多くのことが大きく異なっているようなので、しっかりと聴いてください」  昨日の案内人、講師だったのか。  学生の一人かと思ったよ。 「本日の講師を勤めさせていただきます、ケイト・タフィナスです」 「あのタフィナスってこは優秀らしくてな、生徒なのに講師もこなしてるんだとよ」  へー  あと厳丈さん、猫耳とか尻尾隠してくれたりしませんかね? 「学園内で何度かお会いしたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、よろしくお願いいたします」  お、こっち見た。  あ、ビクッてなった。  そんな怖がらなくても……。 「最初にこの世界についてです。この世界は別の世界の一部を飲み込んで大きくなっています」  チキュウだけじゃないのかね? 「直近では皆さんが住んでいたチキュウがそうですが、300年ほど前にも同じようなことが起こっています」  わりと頻繁に起こることなのかね。 「ただそれ以前となると5000年ほど前になるそうです。という事でそう頻繁に起こることではなく、今回のように短いスパンで起こったことが稀なケースだといえます」  なるほどね。  しかし拡大する世界か。  どういう構造なんだろね? 「続いて季節についてです」  は? 四季の移り変わりがそれぞれの使者が季節を運んでくる? 「春は春の舞姫、夏は夏の女王、秋は秋の道化師、冬は冬将軍が季節を運んできます。そしてそれぞれの使者が通った跡を中心に季節がひろがります」  それぞれの使者は季節を運びながら世界をまわっているそうだ。  行動パターンは多少前後するが一定らしい。 「昼夜の変更も太陽の巫女と月の巫女が同じように昼と夜を運んで来ます」  こっちは複数いるらしい。  季節に比べると変更回数も多いからってことなのかね。  ちなみに、太陽と月はずっと出ていてそれぞれの巫女が担当の空を開くらしい。 「星に関しては魔力が集まって空で輝いていて、一定以上集まると結晶化して星が降ってきます」  降ってきますて。  落ちてきた星は資源になるらしく、高く売れるらしい。 「雨や雪などの天候もそれぞれの神、雨神、雷神、風神、雪神などが思い思いに活動して、雨や雪を降らせています」  季節と天気に関してはそれぞれの眷属が前触れに来るのである程度の予想がたつそうだ。 「ただ使者が何らかの理由で遅くなったり、眷属が仕事を放棄したりしてトラブルになることがあります」  それ下手したら災害じゃねぇか。 「ここまでで質問などがある方はいらっしゃいますか?」  聞きたいことねぇ。  も少し地球について聞いてみるか。 「飲み込まれた地球の街や土地なんかはどこにいったんですか?」 「世界中のありとあらゆる場所に、配置されています。ただ今回はもともと人の住んでいない場所に配置された街が多いような気がします」  電気が使えない近代都市が、魔獣や野性動物がうろつく僻地なんかに飛ばされたら、ひとたまりもないだろ。  防衛の為の武器だって兵器類がほぼ使えないだろうし。  ある程度の強さのゲームプレイヤーがいなきゃ、ほぼ絶望的だな。 「もちろん、わたしたちも情報収集はしていますし、そういった街や人を発見した際は積極的に保護するようにはしています」  それだって限界はあるだろう。  それにきちんと保護してくれるやつらだけじゃないだろうしな。  ここで色々考えた所でなるようにしかならんか。 「さて、次は通貨に関してです」  おお、通貨。  買い物とか含めてみんなに任せてるせいか、実はいまいち価値観がわかんねーんだよな。 「単位はテトとラル。1テトでだいたい皆さんでいう1円くらいでしょうか。100テトで1ラル。ですので1ラルが100円ぐらいですね」  やべえええええ。  通貨の価値観見謝った。  あのホテル1000ラルって一人10万円かよ。  たけえよ、セフィ。  なんであいつふつーに払ってんだよ。  それよりもカシュタンテからもらった金がやべえ。  10億円と思ってたら100億円かぁ。  10億のつもりで要求した俺もとんでもねぇが、100億ポンと払うカシュタンテ女王も大概だな。  こりゃ当面の間、金の心配は要らなさそうだな。  ありがとう、そしてごめんなさいカシュタンテ女王。
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