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47話
「あら、あなた方は?」
「旦那さまの妻のアスクリス・ヒダリともうします」
「同じく妻のセフィル・ヒダリ」
なんで名乗るだけでちょっとどや顔なんだよ。
「あらあら、ヒダリ様にはこんなに美人な奥様がお二人もいらっしゃるんですね」
露骨な誉め殺しだな。
って、なんで二人とも嬉しそうなんだよ。
「やはりこれだけお強い男性ですものね」
「そうです、旦那さまの強さはまさに別格です」
「うむ、サシチ様の強さはすさまじいからな」
おいおい、なんでフツーに俺の話になっちゃってるの?
「騙されちゃダメだよ!」
「ソノ女の口車に乗ってはイケマセン」
「クリスさん、セフィさん」
こんどは頼れる援軍がっ!
「あらあら、こんどは素敵なお嬢さんたちね。あなた達もヒダリ様の奥様なのかしら?」
「トモエ・ヒダリだよ」
「ルーシェル・ヒダリでス」
「キョウカ・ヒダリといいます」
「まあまあ、こんなに素敵なお嬢さんが、三人も。ヒダリ様はよほど素敵な方なのね」
「そうだよ。左の字はボクたちがピンチの時に颯爽と駆けつけてボク達を助けてくれたんだ」
「そうデス、頭をポンポンて安心させてくれるんデス」
「普段は飄々としてるのに私達を見てくれるている時はとても優しい眼差しなんですよ」
なんでそんなに誇らしげなの。
なんでそんなこと言っちゃうの。
羞恥プレイですか?
スゲー恥ずかしいんですが。
「あらあら、素敵な旦那さまね。そしてあなたたちはとても幸せそうね」
「もちろん、幸せだよ」
「毎日がハッピーでス」
「日々幸せを噛み締めています」
もうやめてください。
衆人環視の前でこの仕打ち。
悶絶して死んでしまいそうです。
「アスクリスさん、セフィルさん。ヒダリ様ほどの強さをもつ方が、その辺のどうでもいい王公貴族なんかよりも小さな所帯で満足してしまってよろしいのでしょうか?」
いや、いいだろ。
なんの問題もないよ。
そもそも五人妻がいる段階で小さな所帯じゃねぇし。
「たしかにそうですね。旦那さまほどの力をもつ方が、その辺のどうでもいい王公貴族より小さな所帯というのは問題ですね」
ええっ、賛成すんの?
「たしかに。サシチ様ほどのお力がある方が、力のない王公貴族などよりも小さな所帯というのは、この世界の損失ですね」
ええっ?もう言ってる意味がわかんないんですけど。
「うんうん、そうね。ヒダリ様ほどのお力がある方は、やはり多くの妻が必要よね」
いや、そんなわけないだろ。
ってなんで二人は納得してるんだよ。
「トモエさん、ルーシェルさん、キョウカさん。ヒダリ様はあなた達を幸せにしてくれている素敵な方。そんなヒダリ様だって時には大変なこともあるでしょう。そんな時にあなた達と一緒にヒダリ様を支える人が必要だとはおもわない?」
いえ、俺としてはもう十分支えられてますから。
たまに支えが多過ぎて、なぜか俺がオーバーワークになってますから。
「たしかに、どんなに左の字がすごくても困るときはあるよね」
今困ってるんですが。
「そうデス、セブンも万能ではないはずデス」
普通そうじゃね? 万能なんてありえなくね?
「そうですね、支える人では多い方がいいですよね」
多くなればなるほど、俺の苦労も増えるような気がするんですが。
「うんうん、そうね支える人は多い方がいいわよね」
なんだろうね。
レイラさんを殴ってでも止めないと、大変なことになりそうな気がするよ。
「ご主人さまー」
リシャル、いつからいたんだお前。
お願いだから今はおとなしくしててほしいな。
「一人増えるも二人増えるも変わらないよ」
ふざけるなよ。
何言ってくれちゃってるのお前。
「私なら皆さんがヒダリ様の御子様を身籠られた時に、経験者として多くのアドバイスもできますよ」
「それは重要だ!」
「経験者がいるのは重要かも」
ちょっと目をはなした隙に妻たちが完全に落とされてるんですが。
「我が主。御子様を育てるための教師として、レイラ様は申し分ないかと」
お前どっから出てきたんだよ。
しかも出てきて早々、落とされてんじゃねーよ。
「というわけで、レイラさんにも一緒に来てもらうことにしました」
どういうわけだろうね?
完全に外堀から攻め落とされてしまったよ……
「これからよろしくおねがいしますね、あ・な・た」
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