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61話
「改めまして、ガンドラル村領主サシチヒダリさま。我がデルバレバへの救援、心より感謝いたします。デルバレバを代表して、私エーラ・デルバレバがお礼を申し上げます」
レイラの娘さん達が片膝をついてお礼を言ってきた。
「おおう、態度が一変したな」
レイラはなんでそんな満足げに、うんうん言ってるんだろね。
「どうぞお気になさらず。こちらも事情がありましたので」
「それでもです。あの大部隊から街を護っていただいたのは事実です。私達だけならどうなっていたことか」
「利害が一致していただけですから。まあ、今後もよい関係が続けられるのならそれはありがたい事ですが」
「それに関しては、一度こちらから提示させていただいたように、同盟かそれに類する関係を結んでいただければと」
「分かりました。詳しい内容については、ナディとレイラさんと内容を詰めて下さい」
「え、狂、じゃなくてナルディスナ様とお母様とですか?」
エーラさん、めっちゃ嫌そうな顔した。
「確かに、こういった交渉事は我等の分野」
ナディが獰猛な顔になった。
「では後程じっくりと話し合いをしてきますわ、朗報をお待ち下さいませ、あなた」
レイラさんがめっちゃ悪そうな顔になった。
「私も同席しますね」
ん? クリスはいらないんじゃないか?
交渉とか出来るの?
難題は全て消し炭にしてるイメージなんだけど。
「狂竜アスクリスの同席ですか。頼もしいですね」
あれ?
そうなるの。
レイラさん大丈夫?
クリスは、なにかあったらとりあえず燃やすみたいな感じだよ。
「そうだな、同席するだけで十分な援軍だ」
えー、ナディもか。
ホントに大丈夫か?
ほら、セフィがすっげえ不安そうな顔してるぞ。
そうだよな、不安だよな。
邪魔だからって大事な機体をいきなり消し炭にするやつだもんな。
「任せて下さい。困った時は全て消し炭にしてあげます」
任せてくださいじゃねーよ。
困った時に困り事を焼却するやつに、何を任せるんだよ。
「頼もしい限りですね」
頼もしいか?
不安しかなくなってきたぞ。
人選間違えたか。
「ヒダリ殿から任せれたこの任務、見事成果を挙げてみせよう」
なんか三人ともえらいやる気になってる。
今さら撤回とか言えねえ。
すまない、エーラさん。
なにかあったら、とりあえず逃げてくれ。
「旦那さま、そういえばなにか捕らえていませんでした?」
「ああ、艦隊の旗艦ぼいやつに乗ってた、一番偉そうなやつを拘束しといた」
「今回はどうするつもりなのだ」
「んー、現金で賠償してもらう」
とりあえずは捕まえたお偉いさんに話してみますか。
この皇帝ってのが一番偉そうだし、このおっさんからいきますかね。
「えーと、帝国皇帝陛下でいいのかな?」
「ふん、貴様に教える必要などないわ」
「ならば仕方がありません、交渉できないお相手を生かしておいてもしょうがないですね」
「な、貴様」
「皇帝陛下、いまこうやって拘束されてる事実を理解していますか?」
「く……」
「理解が早いのは助かります。私の話を聞いていただけるのであれば黙って頷いて下さい」
10人のおっさんが、頷いた。
「では改めて、各国におねがいです。今回の件の賠償金として各国5億ラルおねがいします」
「な、そんな金額払えるわけがない」
「ではあなたの命で構いません」
「な」
「皆さんも今ここで選んでください。私としてはどちらでも構いませんので」
はてさて国をとるのか自分が可愛いか。
お偉方の覚悟ってやつを見せてもらいましょうかね。
「わかった、帝国は5億払おう」
「我が国もだ」
「我が国も」
まあ、自分の命をとるわな。
金払うって言ったって国の懐は痛むが、自分の懐は痛まないからな。
「では早速回収に向かいましょうか」
「どうやって帝国まで行くつもりだ、艦は全てお前たちが沈めてしまっておるぞ」
「クリス、申し訳ないが竜の姿になってくれ」
「分かりました、旦那さま」
目の前でクリスが竜の姿に変化する。
「狂竜アスクリス……だと」
「みなさまご存知のようですね、ならば話が早い。皆様をそれぞれのお国へお返しする際に彼女と共にお伺いさせていただきます」
状況を想像してるのかね?
みんな顔色がすぐれなくなってきた。
「大丈夫です。皆様の国に近いところで竜は姿を隠すようにしますので」
お、ちょっとホッとしたかな?
「ただし、賠償金の支払いを国が渋るようだと、どうなるかはわくりませんけれどね」
また顔色が悪くなったね。
まあ、そこは皆さんが頑張ってお金をださせてくださいな。
でなければ、まあ城やらなんやらが街から消えるだけだしな。
「レイラさん、悪いがレイラさんも同行してくれ」
「分かりました。出発は?」
「すぐにでもお願いしたいところだが」
「分かりました。ですが、その前に」
レイラさんが凄い笑顔だ。
但し目がヤバい。
「ヒダリ殿。とりあえずいこうか」
「セブンいきまショウ」
「サシチ様」
あれだね、うちの妻たちは戦闘で興奮しちゃうのかね。
俺、戦闘の度に襲われてるよ。
うん、軽く変態さんだね。
「佐七さん」
「旦那さま」
「左の字」
「主様」
まあ、なんだ。
望むところだ!
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