SECRET 01

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 「サクさん…」  傍に戻ってきたサクさんが、指で私の顎を掴んで持ち上げた。  あまりの至近距離に、息が止まりそうになる。  「――――――彼氏、いいの?」  「…酷い…」  すべて知っている癖に、それを尋ねるのはわざとなのか。  「悪い」  泣きそうになった私とは反比例。  短く謝罪したサクさんの唇は笑みを象り、くっきりとした二重の目が、妖しい色香と共に細められた。  「なら遠慮なく、サヤを啼かせてもいいわけだ」  「サクさ…」  私の唇を、サクさんの指先がゆっくりと撫でる。  「お前、良い匂いがする」  「シャワー浴びてきたので…」  「ふうん?」  始めは髪にそっと触れるように、次第に髪の毛の中へ。  サクさんの唇が、探るようにして何度もキスを落としてくる。  頭皮、耳の裏、そして首筋…。  サクさんのキスが点になって、それを標に、(くすぐ)ったさが背筋から頭まで線となって駆け上ってきた。  「ぁ」  恥ずかしいくらいに肩が跳ねて、思わず涙が溢れてくる。  「感じ易いな。――――――楽しみだ」  そんな言葉が齎された次の瞬間には、弧を描いたサクさんの唇と、閉じる事を忘れて乾燥してしまった私の唇は、隙間なくしっかりと重なっていた。
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