SECRET 06

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 "こんにちは。ケイトと申します。ケイと呼んでください。顔写真はサイト内でご確認ください。もし変更を希望される場合は、デート日二日前までは変更が可能です。ただし、変更を希望するホストの予定が既に埋まっている場合は、一回のみデート日の変更が可能です。体調不良、急な生理などはご相談承ります"  "コースはセックス付、ラブラブ恋人コースでよろしいでしょうか?"  "申込書にはホテルご希望との事でしたので、ホテルの選別、予約等についてはサヤさんに一任します。決まりましたらご連絡ください"  "元彼を忘れたいという動機でご連絡くださる女性は多いので、気にしなくても大丈夫です。私が上書きできるように頑張らせていただきます。楽しい時間を過ごしましょう"  "サヤさん。ようやく明日お会いできますね。待ち合わせ場所は…"  半月かけて、ケイさんと交わしたのはこんなやり取り。  『あはは、相変わらず定型文からの使いまわし。あのチャラさでこの文面はないよね~』  『逸美、ケイさん知ってるの?』  『え?』  『あ、もしかして…』  『違う! ないから! ケイトは無かった! 私、指名なしの時もマッサージがオプションでつけられる人だけだったし、ちょっとこのタイプは見た目で却下だし…』  『そ…そんなにチャラい?』  『チャラい。って、え? まさか咲夜(さや)、ケイトの写真、見てないの?』  『うん』  『なんで?』  『何となく…。メールも、システムか、担当の人が対応してるのかなって思って、きっと事務処理と変わらないんだろうなって、なら私も、ちゃんと事務的に行こうって』  『ま…真面目さがちょっと違う方向にいってる気がするけど…』  『え?』  『ううん。そうね。ま、ここはイケメンが多いし、余程のハズレはないと思うし。変な理想に焦がれるよりは、そっちが正解かも。やっぱり本気になって、ストーカーみたいに付き纏う女もいるんだって』  『好きになってって事?』  『そ。でもそこは気を付けないといけないところ。優しくするのも、丁寧に愛撫するのも、仕事だからでしょ? 愛してくれてるからじゃない』  『うん…』  『これは遊び。本気になっちゃ、駄目なのよ』  そして迎えたデート当日。  やってきたのは、ケイさんではなく、サクさんと名乗る人で、  『え? 別の人が来てたの?』  『うん。今日はサクって呼んでって言ってたけど、ケイさんとは違う人だと思う』  『サク? そんな名前いたかな。――――――メンバー紹介メンバー紹介…はい、これがケイト』  『凄い…ほんとに金髪だね』  『やっぱり違うんだ?』  『うん。サクさんは真っ黒だったよ』  『黒も最近は多いんだよね。待ち合わせの時、いかにもって感じじゃないから人気みたい。黒髪…黒髪…あ、ちなみに、私の馴染みはコレね』  『わ、見せて? ――――――逸美、三位って…』  『マッサージテクが凄いの。指使いが絶妙なの! 予約は大変だけど値段が変わるわけじゃなし! どうせなら上手な人のとこ行くでしょ? ネイルだって、美容院だって』  『うん。そうだね。うん、大丈夫』  『ううう、なんか咲夜(さや)が生意気になった~』  『ふふ、――――――ん~、この中にはいないな、サクさん』  『そっか。だとすると、顔出しNGで、指名無しの客だけ相手にしてるホストなのかも。私の二人目がそんな感じだった』  『私…サクさんがシャワー浴びてる間に出てきちゃって、お金、足りてたのかなって、翌日急に心配になって…』  『十万置いてきたんでしょ? 十分お釣りがくるから大丈夫よ』  『ほんと?』  『ほんと。それに、携帯の解約は一日、ちゃんと待ったんでしょ?』  『うん』  『未払い分があったら速攻で連絡くると思うよ。その辺りは厳しいって聞いてる』  『じゃあ、大丈夫かな』  ――――――別の意味で、大丈夫じゃなかった。
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