-助け舟-

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 「…それはまだ…」  「…トイレに行くと言って、部屋を出て、こんなところで、立ち話に夢中になって、まだトイレにも行ってないの?…」  好子が鬼の形相で、直一に詰め寄る。  私は、唖然とした。  これでは、まるで、夫婦だ…  恐妻家の夫と、その妻だ…  私は考える。  見ようによっては、直一と好子が、一番親しい間柄にも、思える。  「…申し訳ない…」  直一が、頭を下げて、好子に詫びた。
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