第二章

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ニヤニヤ笑いながら、俺がチロリと視線を送ると 「悪かったって…っくく、まぁお前がマジに悩んでんのはわかるけど…。考えすぎもよくないぜ。 Ωの子とはしたことねぇの?発情期とかやべぇって聞くけど?」 …興味深々だな。 確かに発情期のΩは迫られて何回かしたことはあるけど…。 「確かに匂いにあてられて興奮はするんだけど、理性を失うとかはねぇかな。 ま、妊娠とかリスクもデカいからさ。」 そうか、と桐山は意味をすぐ理解してくれた。 俺の家柄なんかが目当てで妊娠騒動とかなっても嫌だし、Ω自体も少ない。 今まであったΩも特に特別なものを感じることはなかった。 …やっぱ運命なんて奇跡みたいなもんなんだろう。 それから大学を卒業し、俺は自分の実家に戻ることを拒否し、別の会社に入社することにした。 同期には桐山もいるし、社会人としてのスタートに俺は少しワクワクしていた。 そこで俺は、あいつと出会った。 入社式、透き通るような白い肌、眼は横に大きくて長い睫毛が影をつくっている。 綺麗、という言葉が今まで合った誰より似合うと思った。 どちらかというと自分は可愛い感じの子がタイプだと思っていたから、ぜひ仲良くなりたい、という気持ちが沸いてきた。 が、誘う言葉を間違えたらしい。 「…いえ。見た目に反して緩い下半身なのはわかりました。αは才能あって頭の回転が速い方が多いですが、そうじゃない方もいらっしゃるんですね。」 香椎と言われる人物は俺を汚いものでも見るような眼で言い捨てた。 …外見と中身、違いすぎだろ。 あれで愛想よかったら絶対もてるだろう。 勤務先が違うけど、月に何回か会議などで集まりが合ったときは気になって目で追うようになっていた。 …いつも光成さんって上司と居るな。あ、あいつ同期の土生じゃん。あいつとも仲がいいのか。 でもいつも無表情というかあまり笑ったりすることもないように見える。 この感情がなんなのか、わからない。 きっとあんな奴と今まで関わったことがないから気になるだけだ。 人事異動があって、アイツとペアを組むことになっても関係は変わらない。 俺がふっかけて、アイツがキレる、みたいなやり取りは日常茶飯事。 だらしないとか貞操観念がないとか、アイツは誰かとシたことはないのか? あれ、つーかアイツΩだったよな?じゃぁ後ろ使うってこと? ……なんか考えただけで変な気分になりそうだったから考えるのをやめた。
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